2023年(令和5年)10月、北九州市若松区青葉台南に、在宅医療を専門とするクリニックを開院しました。
私はこれまで、産業医(会社員の健康管理を専門にする医師)や大学教員(医療倫理・生命倫理・医学哲学の研究や学生教育をする医師)を経て、北九州市で救急医療の中心的役割を担い続けている健和会大手町病院で経験を積み、救急科専門医の資格を取得し、その後、宗像市で在宅医療の拠点となっているコールメディカルクリニック福岡で研鑽を深めました。
私が救急医から在宅医に転身したのは、救急外来に次々と患者さんが搬送され、ご家族が次々に来院し、救急医療により救われる命(救命)・延ばされる命(延命)に向き合う中で、
『この患者さんは病院に運ばれてきて幸せなのだろうか?』
『ご家族は病院に連れてくるのを望んでいたのだろうか?』
『病院に来る前に、在宅医がもっと何かできたのではないだろうか?』
という思いが、日に日に増すようになったからです。
在宅医療では、CT検査やMRI検査、胃カメラや大腸カメラ、手術などをすることはできませんが、みなさんが想像している以上に、病院と変わりないレベルでの検査や医療処置が可能です。
また、病院と比べても劣らないレベルで、家や施設にいながら緩和ケア(痛みやきつさをしっかり和らげる治療)を受けることもできます。
そして、大好きな家で、愛するご家族、大切なペットと一緒に過ごすことができるのが在宅医療の大きな魅力です。
患者さん・ご家族の状況や要望をうかがいながら、在宅医療や病院医療を自由に選ぶことができるようにしていきます。
これまでの救急医としての経験、在宅医としての経験をもとに、今後は「在宅救急緩和ケア医」として、私が愛するこの町で、在宅医療に関わる多職種のみなさんと力を合わせて、患者さん・ご家族の支えになっていきます。
院長 大垣 拓郎